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2014年6月10日火曜日

[GPIF]国民の年金積立金128兆円から株への投資を増やす安倍政権が隠す5つのこと

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安倍政権は、GPIFに命じて、国民が支払い続けた年金積立金128兆円を、これまで以上に株に投資しようとしている。だが、そのリスクについては全く国民に説明していない。

何を説明していないのだろうか。整理してみた。
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GPIFとは?

GPIFという言葉がここ最近しょっちゅう報じられている。GPIFとは「年金積立金管理運用独立行政法人」のことだ。

そのGPIFの仕事とはこうだ。
年金積立金の管理及び運用を行うとともに、その収益を国庫に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資すること』
(wikipediaより引用)
つまりGPIFとは、国民が支払っている年金の掛け金(保険金)128兆円をまるごと管理している行政独立法人だ。その128兆円の一部を、国債や株に投資してお金を増やしたり減らしたりする仕事もしている。

「安定に資する」という仕事内容からはずれていないだろうか。

このGPIFが今後、これまでよりリスクの高い投資をすると言っている。
  • 国債・・・低リスク
  • 株式・・・高リスク
なわけだが、今後
  • 株式 12%→20%(上下6パーセントの変動を認める。つまり24%まで)
にすると言われている。

ただでさえ年金崩壊と言われている中で、これまでよりリスクの高い方法で年金積立金を増やそうとしている。国債への投資と比べて減るリスクも高いのにもかかわらずだ。

そこまでしなければいけないのは、年金積立金が足りていないからだ。

リスクの低い運用をしていては年金を十分に支払えないので、賭けに出ていると言っていいだろう。

しかも安倍政権は、 
  • 消費税増税による支持率低下の対策 
として、国民の年金積立金を使った高いリスクの運用をしようとしている。

128兆円と言われている国民の年金積立金の一部を国内株式に投資すれば、株価は維持あるいは上昇するだろう。それによって投資家を喜ばせ、アベノミクス成功と主張し、内閣の支持率低下を食い止めようというわけだ。

【1】消費税増税後の支持率低下を食い止めたいことを隠している

安倍内閣の寿命は、どれだけ長く見積もったとしても、年金をこれからも払い続ける現在40歳の人の寿命より長いはずがない。

もちろん、年金積立金を増やすことに大成功するならば国民としては願ったり叶ったりかもしれない。だが、当然失敗するリスクもある。短期的に増えたとしても、長期的に減ったならば、年金を受け取る側にとって嬉しくもなんともない。

だが高リスクの運用をしたがっている。それならば、そのリスクをきちんと国民に説明する必要が絶対にある。

だが、隠している。

それを理解するためには、近藤駿介氏の記事がわかりやすい。
から引用して整理してみよう。

【2】将来の公的年金を十分に支給できるのか隠している

『今回の財政検証で、厚生労働省は8つのケースを示し、それぞれのケースで将来の給付状況がどうなるかを示しました。しかし、財政検証で最も需要なことは、約128兆円というGPIFの積立金残高が、現在の経済状況下(=金利水準)で一定の誤差の範囲内で推測出来ている「将来の公的年金支給」を賄うのに十分な規模なのかという点です。今回の財政検証では、この最も根本的かつ重要な部分については何の情報も出されていません。』
今月6日に発表された年金財政検証によって、将来の経済状況下によって、支給水準がどれくらい変動するのかが発表された。

だが、肝心の、それで年金を十分に支払えるのか、については何の情報も出されていない。
  • 「これくらいの水準になりますよ」
 と言ってるだけで、支払えるとは言ってないのだ。足りないのは明らかだ。

足りないからこそ、女性や高齢者を働かせて労働人口を増やし、経済を活性化させつつ、支払い時期を遅らせようとしているわけだからだ。

【3】 足りない分がどれくらいなのか隠している

『経済成長率を高めに設定したほか、給付開始年齢引き上げや出生率を高く設定したりしていることから、足下の約128兆円という「世界最大の年金基金」の抱える資産規模は、「将来給付する年金額」に対して不足していることは十分に推察されますが、その「積立不足」の規模がどの位なのかについては全く示されておりません
年金財政検証では、今後、女性をより働かせ、男性高齢者を長く働かせなければ、年金制度は十分に維持できない(所得代替率が50%にならない)ことを発表した。

つまり、今のままでは「将来給付する年金額」には足りないということになる。

どれくらい足りないのかを政府は国民に示していない。

【4】 株価10%下落で2兆円も年金積立金が減ることを隠している

『現在でもGPIFは時価ベースで22兆円強、17%強の国内株式を保有していますから、「国内株式比率の引上げ」が実施されるか否かに関係なく、株価が10%下落するだけで2兆円以上「積立不足額」が増えることになります。』
10%上がれば2兆円増えますが、10%下がれば2兆円減ります。年金積立金が2兆円減れば、不足額は2兆円増えます。

2兆円減れば、その分を何処かから調達しなければいけないのは誰でもわかることです。

問題はその、減った分の調達方法ですよね。

【5】減った分は「大増税」「掛け金大幅引き上げ」「給付金大幅引き下げ」のどれで取り返そうとしているのを隠している

『今回の財政検証の最大の欠陥は、こうした「積立不足」が増える事態に陥った際に、税金を投入して行くのか、掛け金を大幅に引き上げるのか、給付金を大幅に引き下げるのか等々について、何の対応策を示していないことです。』
リスクの高い賭けに出て失敗した場合には、より年金制度の維持が難しくなりますが、そのときにどのように対応して維持していくのかを、政府は国民に隠しています。

大増税をするのか、掛け金を大幅に引き上げるのか、給付金を大幅に引き下げるのか、年金受取り年齢を上げていくのか。

国民に説明しないままになっています。

政府が隠すなら、国民は返せというかもしれない。

国民が負うコストが、大増税なのか、掛け金の大幅引上げなのか、給付金の大幅カットなのか。それによっては、国民はこれまで支払った掛け金を返金して貰う、今後の給付金を一時金として受け取る(死亡年齢が未確定ですから支払期間を一律にする必要有)などを選択するかもしれません。』
政府が国民に対してリスクを説明しないまま年金積立金を失えば、国民は政府を信用することをやめる恐れがあります。

ここまで国民にリスクを説明せずに、年金積立金を株式により投資しようとするのは、間違えていると思う。

国民全員が背負うリスクをあなたの手でネット上の友人に伝えて欲しい。

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