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2014年6月6日金曜日

中小企業向け企業年金 創設検討 企業年金をおさらい

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中小向け企業年金の創設を検討するという報道が出ています。最近、問題が生じている厚生年金基金も企業年金の1つ。報道を読んで考えてみましょう。
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『厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会の部会が開かれ、サラリーマンなどが加入する厚生年金に上乗せして支給される企業年金の充実を図るため、中小企業向けの新たな制度の創設などを検討し、年内をめどに具体案を取りまとめることになりました。』

企業年金とは?

企業年金をwikipediaでおさらいすると。
『企業年金(きぎょうねんきん)は、私企業が勤労者の老後の生活をより豊かにするために公的年金に加えて選択的に設ける私的年金である。
この年金原資の運用や管理、給付などは、母体企業が設立した厚生年金基金や企業年金基金によって行われる。また規約型企業年金では、企業と受託機関が契約を結び企業の外で運用・管理、給付が行われる。なお、基金の中途脱退者や解散基金加入員の運用・管理、給付については、基金から1967年(昭和42年)に厚生年金保険法に基づき設立された企業年金連合会(設立当時は厚生年金基金連合会)に引き継がれる。』
厚生年金基金も、企業年金なのですね。

例)企業年金の1つ厚生年金基金の構造

以前、厚生年金基金の解散について書いたエントリーでは、
  • (3階)厚生年金基金(厚生年金の一部を代行して受け取り運用し上乗せ給付
  • (2階)厚生年金(厚生年金「基金」が一部を代行して受け取る
  • (1階)国民年金
という図式であることを整理しました。

厚生年金基金は、「企業年金」の1つですね。

つまるところ、公的年金(国民年金+厚生年金)だけでは充実してるとはいえないので、企業年金で何とかしようというわけですが。バブル崩壊後うまくいってないので、どうしようかというわけですね。

リンクを張ったエントリーをお読みいただければわかると思いますが、現在、企業年金の1つ「厚生年金基金」の破綻が相次ぐために「特例解散」を認めて政府がケアしている状況なのですね。

そういう中で、今回、新たな企業年金制度について検討されている状況なのですね。

企業年金の種類

企業年金の種類もwikipediaから見ておきましょう。
『企業年金の種類
厚生年金基金(公的年金を補完する位置づけ)
確定給付年金(正式には確定給付型企業年金、2通りの型がある)(公的年金を補完する位置づけ)
規約型企業年金
基金型企業年金(企業年金基金)
確定拠出年金の企業型年金(公的年金を補完する位置づけ)
適格退職年金(2001年(平成13年)の確定給付企業年金法の成立に伴い、2012年(平成24年)3月末までに廃止されるので確定給付年金に切り替える企業もある)
企業年金基金、「○○企業年金基金」と呼ばれ多くの企業や同業協会などの組織で基金を設けている。自社年金や独自年金などと呼ばれる(例として下記の外部リンクを参照)。
中小企業退職金共済制度・特定退職金共済制度
自社年金の一種の「退職年金」(多くは国が企業年金制度を設けた後、各種の「企業年金」に切替えた)』
年金の詳細については、自分に関心のがあるものしかチェックしないですよね。こうやってみてみると、制度自体が複雑化しているのがわかりますね。

企業年金の問題点

『2003年(平成15年)から3年間は年金資金の運用の成績が上がらず連続マイナスとなり企業の業績の低迷や財政悪化により掛け金の拠出が困難となっている。このため、支給額の減額や制度の終了に踏み切る企業も増えている。企業年金の受給者側の不満として訴訟も起き、係争中のものも多い。』
というわけで、企業年金が減額されたりなど、がうまくいっていない状況があるわけです。

で、報道に話を戻して。
『4日開かれた社会保障審議会の部会では、サラリーマンなどが加入する公的年金である厚生年金に上乗せして支給される企業年金を巡って意見が交わされました。』
先ほどの、厚生年金基金もその1つですね。

公的年金の給付水準低下の中で企業年金の充実を検討

『この中で厚生労働省の香取年金局長は「公的年金の給付水準は徐々に下がっていくが、他の先進国では公的年金と企業年金を組み合わせた老後の所得保障が進められている」と述べ、企業年金の充実に向けた検討を始めたいという考えを示しました。』
日本では、公的年金の給付水準を今後どんどん下げて、所得代替率50%(現在は62.7%)まで下げてキープすることを目指しているわけですが。

これでは不満が出るので、企業年金を充実させる提言を行っていると。内閣支持率の低下を食い止める政策の1つとしても見れます。

中小企業の企業年金導入率が低い

『このあと、従業員が1000人以上の大企業では72%が企業年金を導入しているのに対し、従業員が100人から300人未満の中小企業では36%にとどまっていることが報告されました。』
どゆことだろう。

1章 企業年金制度解説 - 中小企業庁によると、
当初、基金設立の従業員規模が1,000人以上であったため、大企業が中心となっていました。その後同業種の企業や同一地域で基金設立(総合型)が可能になったことから、中小企業へも普及が進みました。』
とのことですが、導入率はわずか、36%なのですね。

転職後に別の企業年金に移れる仕組みの導入検討

『そして部会では、中小企業向けの新たな企業年金制度を創設することや、雇用形態が流動化するなか、転職しても別の企業年金に簡単に移れる仕組みの導入などを検討し、年内をめどに具体案を取りまとめることになりました。』
年金納入率の低下本当の納入率はなんと39.9%を食い止めるためにも、年金制度の利便性を高める必要がありますね。

年金制度がうまくいっていからといって、これ以上税金を投入して何とかしようというのは避けてもらいたいものです。

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